荻原雲来校訂 梵文・菩薩地 昭5・11年刊

荻原雲来という方は、日本の仏教学、とりわけサンスクリット文献に基づいた仏教研究の先駆者です。サンスクリットの教科書『実習梵語学』は、我が国において長らく定番の教科書としての地位を築いておりました。

本書、『瑜伽師地論』「菩薩地」は、インド仏教の二大学派である唯識学派の最初期の文献であり、貴重な文献です。研究者であれば、誰もがその恩恵を受けてきました。

のちに(昭46)山喜房さんから復刻版が出ますが、こちらはその元版であり、我が国における近代仏教学の夜明けを伝える金字塔ともいっていい著作だと思います。